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凍結卵子を使わない未来とは?

東京都・2024年度 “卵子凍結予算5倍5億円

2023年10月から開始した健康な女性などが卵子の凍結保存を行う際の東京都助成金。参加必須となる説明会には約9100人が参加し、うち、助成金適用となるための申請は2800人にのぼり、申請者全員に最大30万円の助成金を支給する方針です。2024年度も2000人規模の利用を見込み、今年度の5倍の5億円規模に予算を増額する考えを明らかにしました。また山梨県や大阪府池田市も来年度からの新たな助成を発表しました。

採卵(体外受精顕微授精にむけて卵巣内から卵子を取り出すこと)は、国内で年間25万件ほど実施され、高い安全性が臨床で十分に証明されている技術です。生殖医療における日本の凍結・融解技術は非常に高く、世界でトップクラスとの評価を受けています。そんな世界最高レベルの技術があるにも関わらず、日本は性や妊孕性(にんようせい※妊娠する力のこと)に関するリテラシーが低く、ある程度高齢になって不妊が顕在化してからしかクリニックに行かないため、世界と比べて体外受精の出産率がとても低い現状があります。

「社会的卵子凍結」は女性のライフ・キャリアプランを両立させるための選択肢として注目を集め、日本でも働く女性のために企業が福利厚生として取り入れ始めています。卵子凍結が広がりを見せる背景には女性が妊娠に適した時期に産みやすい社会風土がまだ整っていないことがあるのではないでしょうか。まるたARTクリニックはこれまで多くのご夫婦と出会い、数えきれないほどの幸せな気持ちをいただいたことに日々感謝をしながら、妊娠へ導く医療、生殖医療に携わっています。しかし一方で、赤ちゃんがほしいと願う一途な気持ちが報われず、苦しい涙をたくさん見てきました。だからこそ、不妊治療をはじめることになってから検査や勉強をするのではなく、それよりも前にまず、自分のことや妊孕性(にんようせい※妊娠する力のこと)を早い段階で知ってもらいたいと不妊予防・プレコンセプションケアに力を入れています。

日本国内ではまだ実施件数が少なく、十分なデータが集まっているとは言えません。卵子凍結をしたからといって必ず妊娠・出産できるわけではありません。また卵子凍結を行うことにより、出産年齢の高齢化が危惧されています。妊娠や出産に早めに向き合い、できれば自然な形で授かる方が女性にとっては負担が少ないです。それでも“可能性”にかけたいと相談に訪れる人が増えています。卵子凍結の意義は日本全国どこも同じで、助成金の支援がある市町村にお住まいの人だけが受けるべきものではありません。結婚・出産・仕事に対する、現代女性の人生観とは?東海地方で卵子凍結を選択する女性たちを半年かけ丁寧に丁寧に追いかけました。自然妊娠でも凍結卵子を使う場合でも、医学的に健康な出産ができるタイムリミットは存在します。目指すところは、「健康に出産し、健康に育てる」ということを忘れてはいけないと思います。放送では、現代女性がかかえるジレンマや切実な思いにも迫ります。社会全体で妊娠、出産、育児がしやすい環境、仕組みをつくっていくためにも、卵子凍結当事者以外の方々も関心を持って放送をご覧いただけたら嬉しいです。

放送日時 3月19日(火)メーテレ「ドデスカ+」

15:43~19:00 放送の 18時15分頃~の特集コーナーで放送予定

タイトル 「注目の卵子凍結 女性たちは今」(仮)

※番組放送につきましては、事前のお断わりなく変更や中止になる可能性があります。ご了承ください。

 

特集VTR院長コメント一部抜粋

「不妊治療、生殖医療に長い間携わってきて、みんなある意味、命を懸けて治療されている人が多いんです。僕たちも一生懸命お手伝いさせて頂いています。それでも結果的に妊娠できない人はいらっしゃいます。みなさん口を揃えておっしゃるのは「もっと早く自分の身体のことを知っていれば、もっと早く動いていたのに」ということ。なので卵子が衰えるとか、卵子が無くなっていくということはなんとなく想像していても、自分の事として考えられるということがみなさんできていなかったんだろうなと思います。だからやっぱりそういうことを社会的に普及することも大事だし、一つの解決法として卵子を凍結するということは、生殖医療で結果的に妊娠できなかった人たちのことを考えると、僕は非常にメリットがあると思っています」