卵子(未受精卵)凍結保存 Oocyte Cryopreservation

卵子凍結

卵巣から採取した卵子を凍結保存することを卵子凍結と言います。加齢などの要因により生殖能力が低下をきたす前に卵子を凍結し(社会的適応)、妊娠する力を保ちながら将来の妊娠・出産のために準備を行うことができます。

日本産科婦人科学会ホームページより
「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ」

卵子凍結の対象

  • 未婚の女性
  • 採卵する年齢は原則として満40歳の誕生日までといたします。
  • 未受精卵のお預かり(ご使⽤)は原則として満45歳の誕⽣⽇までといたします。

一般社団法人日本生殖医学会
社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドラインより

卵子凍結の流れ

内服薬または注射を用いた排卵誘発(卵子を育てる)を行います。
採卵によって採取した卵子の成熟度を確認して、受精能力のある成熟卵のみをガラス化法で-196℃の液体窒素に浸して凍結保存を行います。

卵子を融解して治療する流れ

凍結した卵子を融解して、パートナーの精子を用いて顕微授精を行います。受精卵を分割胚または胚盤胞になるまで培養して、子宮に移植します。

メリット

  • 妊孕性の高い若い卵子を凍結できる。
  • 将来病気や事故、不妊症などによって妊娠が難しくなった場合に、凍結した卵子があることで妊娠への希望がつながる。
  • 妊娠適齢期の問題を緩和できる。

デメリット

  • 保険適用外の治療のため費用が高額になる。
  • 排卵誘発剤による卵巣過剰刺激症候群(腹痛、腹部膨満感)や、採卵時には痛み・腹腔内出血・炎症、麻酔による影響などのリスクが考えられる。
  • 新鮮卵子に比べて、凍結卵子は融解後の生存率・受精率の成績が低い。
  • 卵子凍結の歴史が浅いため、凍結による卵子への影響は不明な点が多い。

凍結保管先について

当院では凍結卵子の保管先として「卵子凍結サービス Grace Bank(グレイスバンク)」と提携をしております。
グレイスバンクを推奨している理由として、凍結卵子は長期保管が見込まれるため医師の急病などでクリニックが閉鎖してしまった場合でも、凍結卵子はグレイスバンクで保管されているため慌てて患者さまに転院先を探していただく必要がありません。
また転居に伴い当院への通院が難しい場合でも、グレイスバンクと提携している全国のクリニックへの凍結卵子の移送が可能です。
詳細は「卵子凍結サービス Grace Bank(グレイスバンク)」のHP(https://gracebank.jp)をご確認ください。

ご予約から卵子凍結までの流れ

①卵子凍結をご希望の方は、当院の予約をお取りください。予約をお取りいただく際に、”卵子凍結希望であること”をお伝えください。
②WEB問診をご回答ください
③初診
③グレイスバンクへ会員登録をお願いします。登録はグレイスバンクHP(https://gracebank.jp)よりお願いします。※1
④内服薬または注射を用いた排卵誘発(卵子を育てる)を行います。
⑤グレイスバンクへ卵子保管のお申し込みをお願いします。※2
⑥グレイスバンクから同意書と凍結専用のバーコードシールが届きますので、お受け取り下さい。※3
⑦卵子の経過を確認し、採卵日を決定します。
⑧グレイスバンクから届いた同意書に署名の上、バーコードシールと共に採卵日までに当院までご提出ください。
⑨採卵
⑩採卵当日、採取した卵子の成熟度を確認して、受精能力のある成熟卵のみをガラス化法で-196℃の液体窒素に浸して凍結保存を行います。
⑪医師から凍結結果をご説明します。
※1:初回診察までにグレイスバンクへの会員登録をしていただくとスムーズに進むことが出来ます。
※2:会員登録とは別に卵子保管のお申し込みが必要です。
※3:同意書及びバーコードシールは保管のお申し込みから通常2~3日ほどで届きますが、5日ほどかかる場合もあります。当院では、初回の診察後から排卵誘発を開始する場合があり、開始時に会員登録がお済み出ない方は会員登録と共に保管のお申し込みもお願いします。また、初回診察時に会員登録がお済みの方も誘発が開始しましたら、保管のお申し込みをお願いします。

卵子を融解して治療する流れ

①凍結した卵子を融解して、パートナーの精子を用いて顕微授精を行います。※
②受精卵は培養液中で、分割胚または胚盤胞の状態になるまで培養して再度凍結します。
③凍結した分割胚または胚盤胞を融解して、子宮に胚を移植します。
※治療を行うには夫婦(または事実婚)であることが前提となります

料金について

卵子凍結は将来の妊娠を保証するものではありません。35歳以上の出産は高齢出産であり、前置胎盤や妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症のリスクは高いままです。また子宮筋腫や子宮内膜症などの合併妊娠も年齢とともに増えます。当院では卵子凍結のメリット・デメリットをご理解いただいた上で、社会進出を望む女性のライフプランの一つである「将来の妊娠の可能性」となる卵子凍結をご提案しています。