5月の妊娠者数の報告をいたします。
妊娠判定陽性者は52名
タイミング妊娠 6名(F T後妊娠者1名)
人工授精妊娠 2名(F T後妊娠者1名)
体外受精-胚移植妊娠者数 44名
5月の陽性者最高年齢43歳(2名 いずれも体外受精です)
当院妊娠者最高齢46歳
今月も多くの妊娠者が出ました。おめでとうございます。毎月、報告をしておりますが、先月と同様の傾向が続いております。通院者の90%が体外受精周期の患者さまですので、必然的に妊娠者の割合は体外受精での妊娠者が多くなっています。
タイミング妊娠
4名の妊娠者が出ました。特徴として、ほとんどが転院者の患者さまで、1年ほどの不妊期間でした。排卵の評価(排卵しているかどうかではなく、妊娠に繋がる排卵を起こせているかどうかです)、卵管の評価、精子の評価を行い、弱点箇所を修正したことにより妊娠できた方々です。1名はF T(卵管鏡下卵管形成術)後の妊娠でした。
人工授精妊娠
人工授精妊娠者1名は、F T実施周期の人工受精妊娠です。人工授精は妊娠率5-10%程度の妊娠率ですが、F T後は25%程度まで上昇します。F T後に妊娠できる方の特徴は、F T実施から3ヶ月以内に妊娠できています。F Tを行うと卵管洗浄と卵管拡張しますので非常に卵管環境が改善します。人工授精は子宮内に洗浄濃縮した精子を注入し環境の良くなった卵管付近に精子を散布するので効果が期待できると推測しています。
体外受精妊娠
今月の特徴は、他院で体外受精を行い、当院に転院後、1回目の移植の妊娠者が目立ちました。当院のコンセプトの『失敗した治療を繰り返さない』の観点から、前医での体外受精、胚移植の状況を確認後、当院での治療方針を決定しています。刺激法の工夫や移植スケジュールの変更が良い結果を生んだのだと考えています。毎月の体外受精妊娠者の共通点は、多くの胚盤胞を獲得した患者さまが妊娠している点です。妊娠への近道は良好胚盤胞を多く作ることです。多くできた胚盤胞からより良い受精卵を選抜して、環境の良い子宮に戻すことで良い結果につながります。
一方で43歳の妊娠者の二人の戦略は全く異なる戦略でした。一人目の方はA M Hに余裕があったので刺激周期採卵を何度か行い、数多くの卵子獲得、胚盤胞作成を目指しました。結果的に多くの胚盤胞を保存することができて、子宮環境(トリオ検査)、免疫検査(Th1/Th2比)確認後、オーダーメイドの移植スケジュールを作り3回目の移植で妊娠ができた方です。二人目の43歳の方はA M Hが低く、刺激周期の採卵は合わない方でした。低刺激により少ない数ですが採卵し、卵子が弱かったために、できるだけストレスを与えないように分割期凍結、分割期移植を8回行い妊娠に至りました。お二人とも現在も順調に経過しています。同じ43歳でも同じ戦略で妊娠するわけではありません。卵巣機能や精子所見、卵子の状態や受精の状況を評価しながら最適な方
法を見つける努力をしています。