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着床前検査
(PGT-A、PGT-SR)について

着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)

PGT-A(Preimplantation genetic testing for aneuploidy)とは、体外受精によって得られた胚の染⾊体数を、移植する前に調べる検査です。日本では、学会から認可のおりた施設のみ参加できます。

当院は、<日本産科婦人科学会、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)>認定施設です。

■条件

着床前検査を受ける場合は、一定の条件を満たす必要があり
条件は以下のとおりです。

  • 反復体外受精・胚移植(ART)不成功
    反復する体外受精胚移植の不成功の既往を有する不妊症の夫婦
  • 習慣流産(反復流産を含む)
    反復する流死産の既往を有する不育症の夫婦

※夫婦のいずれかに染色体構造異常(均衡型染色体転座など)が確認されている場合を除きます。
※上記以外にも条件があり、除外基準に当てはまる場合は、対象となりません。
※PGT-Aが自由診療であるため、採卵・移植もすべて自由診療となります。

■方法

胚盤胞の外側の部分(栄養外細胞)から切り取った細胞を⽤いて染⾊体数の数を評価する検査です。1番から、22番までの常染⾊体が各2本ずつ(44本)と⼀対の性染⾊体(2本)で合計46本が正常胚となり、染⾊体数に過不⾜がある胚は異数性胚と呼ばれています。染⾊体が1本多く3本ある場合をトリソミー、1本少ない場合をモノソミーと⾔い、着床しなかったり、多くが流産・死産につながります。

次世代シーケンサー(Next Generation Sequencer:NGS)により従来の⼿法より迅速な網羅的ゲノム解析が可能となりました。この⼿法を⽤いて染⾊体の数を検査します。

メリット

移植前に胚の染⾊体数を評価し、異数性の胚盤胞があった場合には、移植から除外することで流産のリスクが減ることが期待されます。さらに正倍数性の胚を移植できれば、妊娠率、生児獲得率の向上が期待できます。

デメリット(リスク・副作用)

検査のために細胞を採取することにより、胚盤胞へダメージを与える可能性があります。そのダメージにより妊娠率が低下するか否かはまだわかっておりません。さらに、異数性胚ばかりの場合は、なかなか移植に進めず、精神的にダメージがある⽅もいらっしゃると予想されます。

■その他留意点

検査をしても、その他の理由で流産する場合があります(約10%)。検査では、将来「胎盤」になる部分の栄養外細胞の一部を採取しているため検査精度が100%ではありません。異常ではないのに数的異常ありと判定されたり、数的異常があるのに移植可能と判定される場合があります。これらを偽陽性、偽陰性と呼び、その可能性は0.5〜1%程度と⾔われております。諸家らの報告では、正倍数性の胚を移植した場合、妊娠率が約70%、流産率が約10%程度と⾔われております。

着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR)

■条件

  • ご夫婦のいずれかに染⾊体構造異常がある方
  • 妊娠既往もしくは流死産既往の有無は問わない

■方法

  • 検査方法はPGT-Aと同じになります。
  • 流産しにくい染色体構造変化のない胚を判定し、妊娠成功の可能性を高めます。