不妊治療について
不妊治療には、タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療と、体外受精や顕微授精といった より高度な生殖補助医療(ART;Assisted reproductive Technology)があります。
不妊症の原因は様々であり、それに応じて治療法も異なりますが、基本的には簡便なものから始めて、妊娠が得られなければより高度な治療にステップアップしていきます。不妊治療の基本的な流れは、①タイミング療法→②人工授精→③体外受精→④顕微授精です。なお、治療法の選択は、不妊原因や年齢などを考慮して個別に判断されます。
タイミング法
医師の指示で「最も妊娠しやすいタイミングで夫婦生活を行うこと」を言います。タイミング法は、不妊治療で最初に行う治療法で、自然妊娠に近い形で、体への負担の少ない方法です。基礎体温を測定したり、排卵検査薬を用いて行う自己流のタイミング法と何が違うのかと思っている方もいるでしょう。タイミング法は、医学的な知識を用いて、排卵しやすい卵子を準備し、正確に排卵日を予測し、最も妊娠しやすいタイミングを指導することで、妊娠の確率をあげる方法です。
人工授精
人工授精 (AIH:Artificial Insemination of Husband)とは、女性側の排卵の時期に合わせて、洗浄濃縮したパートナーの精子を子宮内に注入する方法です。自然妊娠との違いは精子が入る場所だけで、受精から妊娠までの過程は全く同じであるため、限りなく自然妊娠に近い方法だと言えます。自然妊娠では膣に精液が入り、そこから精子が子宮に到達するのに対し、人工授精は直接子宮に精子を注入しますので、精子と卵子が出会う確率が上がります。
日帰り卵管鏡下卵管形成術(FT)
負担をかけずに卵管通過性を高める治療
卵管鏡下卵管形成術は、卵管の閉塞や狭窄により卵子・精子が通ることができない「卵管性不妊症」を対象とした内視鏡治療です。膣から子宮内にカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、内蔵したバルーンを卵管に通して卵管通過性を回復させるのが目的です。合わせてバルーン内側を通す卵管鏡で、卵管内のヒダの構造を観察することもできます。 体への負担は少なく10分ほどで終わるため、日帰りで治療ができます。
日帰り卵管鏡下卵管形成術のメリット
- 基本的に1回の治療で済むことが多い
- 自然妊娠ができる
- 身体への負担が少ない
- 健康保険が適用になる
患者さまからよくいただく
ご質問を掲載しています
- Q卵管因子ならすべてFTの対象となりますか?
- A卵管采(卵管の腹膣側の先端)の部分で閉塞している場合は、日帰りFTではなく腹膣鏡下FTの適用となります。
また事前検査などでこの治療が受けられない場合もあります。
- Q麻酔はしますか?
- A日帰りFTは基本的に静脈麻酔で行います。腹膣鏡下FTは全身麻酔となります。
- Q手術時などに痛みはありますか?
- A個人差がありますが、手術時でもほとんど痛みがありません。検査より楽だとおっしゃられる方が多いです。
- Q妊娠率はどのくらいですか?
- A卵管の開通率は90%以上で、妊娠率は30~35%だといわれています。