不妊治療、いきなり体外受精!?
できれば自然に妊娠したいと思うものですが体内での受精が難しい(受精障害)など体外受精を検討したほうがいい場合があります。日本産科婦人科学会のガイドラインでは、体外受精の適応になるのは「これ以外の治療によっては妊娠の可能性がないか極めて低いと判断されるもの、および本法を施行することが、被実施者またはその出生児に有益であると判断されるものを対象とする」場合です。女性の年齢は高くなるほど妊娠しにくくなります。40歳未満での人工授精の妊娠率は5~10%といわれていて、体外受精の妊娠率とは比べものになりません。
早く赤ちゃんが欲しいというときは、必ずしも一般的なステップを踏まずにいきなり体外受精に進むこともふえてきています。出生数が減少するなか、2021年の治療では生まれてきた子どもの11人に1人が体外受精児となりました。治療への抵抗感は下がっていると感じますが加齢とともに妊娠率が低下するのは体外受精も同じです。出産を計画する時期を考え長期的な視点を持つことが大切です。
基本的なARTの流れ
体外受精
体外受精は、採卵手術により排卵直前に体内から取り出した卵子を体外で精子と受精させる治療です。受精が正常に起こり細胞分裂を順調に繰り返して発育した良好胚を体内に移植すると妊娠率がより高くなることから、一般的には2-5日間の体外培養後胚を選んで腟から子宮内に胚移植します。
顕微授精
顕微授精とは細いガラス針の先端に1個の精子を入れて卵子に顕微鏡で確認しながら直接注入する方法をいいます。一般的に顕微授精の方が体外受精よりも受精率は高くなります。ただ、いずれの方法も人間の手で受精させるのではなく最終的には卵子と精子の力で受精してもらう事になります。私達胚培養士が行っているのは、卵子と精子を出合わせるお手伝いになります。
体外受精が推奨されるケース
医療技術の進化によって、体外受精の適応とされるケースは広がってきています。下記にあげる項目に1つでも当てはまる人は、体外受精を検討してみましょう。
- 妻の年齢が35歳以上
女性の年齢が35歳を過ぎると、妊娠率は急カーブを描いて下がり、それと反比例して流産率は高まります。その主な原因は受精卵の染色体異常。
30代後半になったらできるだけ妊娠を急ぐことが大切です。 - 人工授精に3回以上トライした
通常はタイミング法から人工授精へとステップアップしますが、それまでの一般不妊治療がどんな内容であれ、1年以上妊娠しなければ体外受精を検討しましょう。
人工授精での妊娠は5回目までが多く、それ以降の妊娠率は頭打ちになるというデータもあります。 - 男性不妊症、乏精子症、精子無力症、奇形精子症がある
- 卵管が詰まっている
- 婦人科系のトラブルがある
- AMH値が1.0以下
- できれば子どもを複数授かりたい
- とにかく早く赤ちゃんが欲しい!!