⽇本では不妊症の⼥性患者さまが約50万⼈、妊娠することはできるが流産や死産を繰り返す『不育』』という病気があり、不育症患者は約30〜50万⼈いると考えられていますが、それぞれ約半数が原因不明のため治療が難しく、そのために適切な治療法が選べないことがあげられます。少⼦化が進む⽇本において重要な社会課題となっています。
当院は2023年2月にネオセルフ抗体検査を導入しました。
着床不全や不育症の原因の1つに「抗リン脂質抗体症候群」があります。
これは血中に抗リン脂質抗体とよばれる自己抗体が存在し、さまざまな部位の血流を悪化させ、血栓ができやすいため血栓症や習慣流産などをきたす疾患です。抗リン脂質抗体症候群の検査で陰性であっても臨床的に抗リン脂質抗体症候群を疑う例が少なくありません。未知の抗リン脂質抗体があるのではないかということで神戸大と大阪大の研究グループによって発見されたのが「β2GPIネオセルフ抗体」です。
ネオセルフ抗体検査は、ネオセルフ抗体が原因と考えられる不育症に対する治療法が見つかったことにより、これまで原因が分からず治療を受けることができなかった不育症カップルに元気な赤ちゃんが産まれるチャンスが増すと考えられます。また、過去の研究で、ネオセルフ抗体が不妊症にも関係していることが分かっており、不育症だけでなく原因が分からない不妊症においても適切な治療が選択できるようになる可能性があります。こちら
検査の対象者は?
・不妊症の方(特に反復着床不全、子宮内膜症)
・不育症の方(反復流産、習慣流産)
・血栓症の方
上記以外にも検査が有効な可能性があります。
検査結果はいつわかる?
採血から結果判定まで3週間程度です。
血栓を予防する治療の詳細情報は?
血流障害や血栓予防の目的で、低用量アスピリン療法やヘパリン療法を実施することにより生児獲得率が上昇したという研究結果が出ています。
費用 37,500円
※検査方法は採血です。
※保険適用外の検査のため、保険診療と併用することはできません。
※その後の治療でARTを希望される場合、これまで保険診療でのARTをされてきた方は自費の採卵からスタートになります。詳しくは診察室でご相談ください。