染色体とは・・・
人の体は約37兆個の細胞からできており、そのひとつひとつに核があり、その中に46本の細胞があります。染色体は遺伝情報を伝える役割を担い、46本の染色体の半分は父親から、残りの半分は母親から受け継ぎます。そのうち1番から22番までは男性女性とも変わらない常染色体と呼ばれ、残りの2本は性別が決まる性染色体と呼ばれます。
染色体の変化について
46本の染色体の数に過不足が起きることを染色体の本数の変化と言います。その場合の多くが妊娠不成立か、流産となります。自然流産の原因は、半数以上が染色体の本数の変化によるものです。本数の変化は受精卵に起きた偶発的なものと両親の染色体の構造変化に起因するものの2つがあり大半が受精卵に起きた偶発的なものです。一般的に母体の年齢が高くなると体外受精をしても妊娠しないまたは流産をする割合が高くなり、これは年齢とともに卵子の染色体の本数が偶発的に変化する頻度が高くなることと関係があると言われています。
着床前染色体異数性検査(PGT-A)とは?
体外受精によって得られた胚の染⾊体数を移植する前に調べる検査です。着床前検査を受ける場合は、日本産科婦人科学会の提示する以下の条件を満たす必要があります。
・反復体外受精・胚移植(ART)不成功
・習慣流産(反復流産を含む)
PGT-Aがとくに向いている方
✓35歳以上で胚盤胞が比較的多くできる方
メリット
✔移植前に胚の染⾊体数を評価し、異数性の胚盤胞があった場合に
移植から除外することで流産のリスクの減少
✔正倍数性の胚を移植できれば妊娠率、生児獲得率の向上
デメリット
✔検査のために細胞を採取することにより
胚盤胞へダメージを与える可能性がある
そのダメージにより妊娠率が低下するか否かはまだわかっていません
✔異数性胚ばかりの場合は、なかなか移植に進めない
方法
胚盤胞の外側の部分(栄養外細胞)から切り取った細胞を⽤いて染⾊体数の数を評価します。通常は1番から22番までの常染⾊体が各2本ずつ(44本)と⼀対の性染⾊体(2本)で合計46本が正常胚となり染⾊体数に過不⾜がある胚は異数性胚と呼ばれています。染⾊体が1本多く3本ある場合をトリソミー、1本少ない場合をモノソミーと⾔い、着床しなかったり、多くが流産・死産につながります。
着床前胚染色体構造異常検査(PGT-SR)とは?
PGT-Aの技術を用いて不育症の原因となる染色体の構造異常を診断する方法です。ご夫婦のいずれかに染色体の構造異常が認められた場合、妊娠や流産の既往がなくても、自然妊娠で流産を反復していた場合でもPGT-SRを受けることができます。
正常な細胞とそうではない細胞が混ざって「モザイク」になっている場合
PGT-Aは細胞を胚盤胞から5~6細胞採って調べます。その中に正常な細胞と異常な細胞が混ざっていることが少なくありません。これは「モザイク」と呼ばれます。PGT-Aが始まったころはモザイク胚は廃棄されていました。しかし、たまたまとってきたその部分だけがモザイクだった可能性もあります。「モザイク胚を戻したら正常な子どもが生まれた」という報告が出てきて、現在ではモザイク胚は子宮に戻す選択肢のひとつになっています。
着床前検査にかかる費用
PGT-Aの価格
新鮮胚 1個126,000円(税込)
凍結胚 1個137,000円(税込)
PGT-SRの価格
新鮮胚 1個154,000円(税込)
凍結胚 1個165,000円(税込)
※PGT-A・SRが自由診療であるため、採卵~移植まですべて自由診療となります。
着床前検査実施までの流れ
当院を受診されていない方は、初診の予約をお取りください。(初診予約は電話かLINE公式アカウントでの受付となります。052-764-0010へお電話ください。)
1 動画の視聴
チェックシートの完成
2 診察
3 参加可否の判断 カップルの染色体検査のご案内
4 参加意思の確認
5 必要な方は遺伝カウンセリング
(PGT-SRの場合はカウンセリング必須)
6 遺伝カウンセリング実施
7 採卵・胚生検(胚の一部を採取)・胚凍結
8 医師から検査結果の説明
9 必要であれば遺伝カウンセリング
(PGT-SRの場合はカウンセリング必須)
10 胚移植